HIGHLIGHT

フィリップ・コニエ は、アフリカのベナンで幼少期と10代を過ごし、フランスのナントを拠点に活動している。ナントのエコール デ ボザールを卒業後、1982 年にローマ賞受賞、1990 年にヴィラ メディチの桂冠を受賞。2004 年には、マルセル デュシャン賞にノミネートされた。 2005年からはパリ国立美術学校で教鞭をとっており、作品はポンピドゥー センター、カルティエ財団、ケルンのルートヴィヒ美術館などに収められている。輪郭はぼやけ、画面は荒れ、時間も空気も全てが混とんと溶け出している。コニエは絵の塗装面にエンカウスティック（蜜蝋と顔料のブレンド）を使用し、キャンバスに直接ワックス ペイントで描き終わると、電気アイロンで加熱した透明なフィルムを重ねている。 この行為によりワックスが液化し、輪郭と色が互いに浸み出し、下にある図面が変形する。フィルムをキャンバスから剥がすと、絵の具の一部が剥がれ、ひび割れや割れ目が生じる。この特異なデモンストレーションは、絵画の線を消し、作品の比喩的な側面を放棄して、主題の漠然とした埋没感を与えている。