本作は、元々インドのランバーグ宮殿に飾られる予定であった「Pigeons」(ハト)の名で知られる噴水装飾のうちの一つである。オークション市場に滅多に流通することのない希少な一作である。<br>水は、古来より芸術家たちに大きなインスピレーションを与えてきた。人生の多くをフランスの水辺の地で過ごしたラリックもまたその一人である。ジュエリーや花瓶などの小品に加え、建築にも興味をもっていたラリックは、1910年頃から噴水のデザインに取り組むようになった。<br>噴水の完成図は、さながらハトたちが水浴びをしているかのようである。ハトそして鳥は、噴水はもちろん、多くの作品で用いられており、ラリックにとって重要なモチーフであったことがよくわかる。